こんな悩みを抱えている方のために、
この記事はこの3点について解説しています。
私の子どもはADHDのグレーゾーンです。診断名はついていないものの、投薬を受けたり児童発達支援に通ったりしながら、日々成長しています。定型発達の集団の中で、発達障害グレーゾーンの子どもが生きる大変さを親として側で見てきました。
また、保育士として療育の現場に勤務する発達障害児支援のプロでもあり、日々発達障害の子どもたちとともに過ごし、子どもたちの健やかな成長を支え、保護者を支援することを仕事としています。
ぜひ、最後まで読んで、発達障害グレーゾーンとはどういう状態かを知り、お子さんの生きづらさを理解してもらえたらと思います。
発達障害グレーゾーンとは
発達障害グレーゾーンとはどういった状態かを知るために、まずは発達障害を理解する必要があります。
発達障害相関図にもある通り、主に3つの特性があり、そこに知的な遅れも併う場合もあります。3つの特性とは、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)の3つのことで、2つ以上の特性を持つ場合もあります。
発達障害は生まれつき
発達障害とは、脳機能の発達に関係する障害で生まれつきのものです。
発達障害の人は、コミュニケーション、他人との関係づくりが苦手な人が多く、社会生活で孤立しがちです。一方で優れた能力を発揮する分野がある人もいます。
特性の名前 | 見られる特徴 |
---|---|
注意欠如・多動症 注意欠陥多動性障害(ADHD) | 不注意である 忘れ物yはなくしものが多い じっと座っていられない 整理整頓が苦手 静かにする場面でも話し続ける 人の話を聞けない |
自閉スペクトラム症(ASD) | 対人関係、コミュニケーションが苦手 興味や行動が偏っている パターン化した行動をする こだわりが強い 言葉や発達が遅れる |
学習障害(LD) | 知的な発達に不相応に読み書きや計算が苦手 |
代表的な3つの特性を上げましたが、特性を二つ以上併せ持っている場合もあり、知的な遅れを伴うこともあります。
発達障害は脳の発達の特性によるもので、親のしつけが原因ではありません。しつけを厳しくしても直りません。
多数を占める定型発達の集団の中では、異質な存在となることがあります。
集中力のコントロールが苦手で失敗が多かったり、コミュニケーションが苦手だったりして、叱られる場面が多くなって自己肯定感が下がりやすい。
子どもの特性を理解した上で、生活の中で起こる困りごとを減らせるような支援をする必要があります。
本来持っている能力を発揮できるように支えるいう視点が大切です。
発達障害グレーゾーンとは
「発達障害グレーゾーン」は医学用語ではありません。日本での発達障害の診断は、アメリカ精神医学会が発表する「精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)」を元に診断されています。
発達障害グレーゾーンとは、この基準を満たしていないけれど主に幼稚園や小学校の教育現場で、集団での指導だけでは集団での活動についていけない、個別支援が必要な子どもに対して、診断がついていなかったり未受診の場合に使われる通称です。
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- 発達障害は生まれつき脳の発達に特性がある状態
- しつけは原因ではないし、しつけで治らない
- 定型発達の集団の中で叱られることが多くなりがち
- グレーゾーンとは、個別支援が必要な子どもに対して、診断がついていなかったり未受診の場合に使われる通称
発達障害グレーゾーン特有の辛さ
グレーゾーンであるがゆえのしんどさがある
発達障害グレーゾーンの子どもは、発達障害の特性を持っています。
コミュニケーションが苦手な特性から、本人は自覚がないままに周囲から孤立してしまう可能性もあります。
ストレスがたまりやすい状態を放置していると、うつ病や不登校・引きこもり等の二次障害の心配があるため、子どもの成長に合わせて適切な支援をしていくことが大切です。
定型発達と同じ進路を進む困難
幼稚園や小学校集団の生活が始まると、発達障害の特性が見え始めます。ですが、発達障害グレーゾーンの子どもの場合、苦手な分野を得意な分野でカバーしていて目立たないこともあります。
ケース紹介(板書ができないAくん)
- 板書が苦手だが記憶が得意なAくん
- 授業中黒板を見てノートに書き写すことが苦手で時間がかかってしまい、先生が消すまでに書き終えられない。
- 授業内容は聞いただけで理解できている。
- ノートをほとんど取らないため、周囲や先生からは授業態度が悪いと注意される。
- 本人は先生の話だけに全神経を集中してがんばっているのに、周りから注意されてばかりで自己肯定感が下がっていく。
中学生で見えてくる悩みもあります。
- 友だちとのトラブルが増える。
- 授業の形式が大きく変わることに戸惑い対応ができない。
- 英語の習得につまずく。
- 大量のプリントを管理できず、親への連絡や提出物の遅れが出る。
- 時間、持ち物の管理が苦手で、遅刻や忘れ物が多い。
このような問題とともに、思春期であることから親への反発もあり、トラブルが大きくなりやすい傾向があります。
二次障害にならないために
療育手帳や障害者手帳を受けられない発達障害グレーゾーンのお子さんは、特別支援学校に進学できないため定型発達の子どもたちと同じ進路を選ぶことになります。
定型発達の集団の中では、発達障害グレーゾーンの子どもたちは、注意される場面が多くなってしまいます。
注意されてばかりだと自己肯定感が下がり、二次障害を引き起こすリスクが高まります。
発達障害グレーゾーンの二次障害には、不登校や引きこもり、抑うつ、適応障害を引き起こす等があります。
二次障害は後天的に発症するものです。ストレスを抱えやすい発達障害グレーゾーンの子ども達が自己肯定感を損ねないためにも、特性の正しい理解と支援が重要になります。
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親としてできること
子どものペースを理解して成長を支える
成長とともに少しずつ行動範囲を広げ、何かあればお母さんの元に戻って安心を得る。
この繰り返しで子ども達は少しずつ成長し、自分の世界を広げていきます。お母さんは安全基地のようなものなんです。
二次障害を予防する観点からも、普段から家庭で心も体もリラックスできるように環境を整えましょう。
幼稚園や保育園、学校との連携を
支援級に在級していれば年度初めに懇談が組まれますが、支援級に在級していない場合は年度初めに新しい先生との懇談は通常の場合はありません。
新しい先生やクラスになり環境がガラッと変わる年度初めは、電話や手紙で心配なことや配慮をしてもらいたいことは先生に伝えておくと良いでしょう。
発達障害グレーゾーンの子どもはお友だちとのトラブルも多いですから、担任の先生との関係づくりは普段から意識して取り組むことで、何かあった時にも意思の疎通が取りやすくなります。
先生は年度初めは何かと忙しいですが、子どもの特徴をつかむ手助けになるので、情報共有は助かるはずです。先生のキャラクターをお母さんが知っていると、子どもへのアドバイスもしやすくなるので、ぜひ積極的に連絡を取りましょう。
まとめ 「特性を理解して良いところをのばそう」
この記事では、発達障害グレーゾーンとその辛さについて解説してきました。
グレーゾーンであるがゆえの生きづらさを理解し、自己肯定感を下げないように支援することで、二次障害の予防になります。
支援学級や発達支援サービス等、診断が降りていなくても受けられる支援サービスもあります。
発達が気になる子どもに対して早期に支援を開始することで、二次障害を防いでお子さんの健やかな発達を支えて行きましょう。