この記事に関心を持たれたあなたは、わが子の障害をどんなふうに受け止めていますか?
まだ受け止めきれていないというお母さんへ
今は難しいかもしれませんが、ありのままのわが子を受け入れられれば、あなた自身の気持ちも軽くなるはずです。
この記事では、「わが子の障害を受け入れる」をテーマに話していこうと思います。
- わが子の障害を人に話せない。
- 発達が遅れているかもとは思うが、結果を聞くのが怖くて病院を受診できずにいる。
- 夫が子どもの障害を認めず、支援学級に入級するのを反対している。
こんな不安や悩みを感じている方に向けて以下のポイントについて解説していきます。
私の子どもはADHDのグレーゾーンです。診断名はついていないものの、投薬を受けたり児童発達支援に通ったりしながら、日々成長しています。定型発達の集団の中で、発達障がいグレーゾーンの子どもが生きる大変さを親として側で見てきました。
また、保育士として療育の現場に勤務する発達障害児支援のプロでもあり、日々発達障害の子どもたちとともに過ごし、子どもたちの健やかな成長を支え、保護者を支援することを仕事としています。
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特性を持った子どもの親であれば誰もが通る道でもあります。決して楽な道ではありませんが、この記事を読んで心の整理にお役立ていただければ幸いです。
それでは本編に入りましょう。
わが子の障害を受け入れるとは
わが子の障害を受け入れられた状態とは、あきらめでも居直りでもなく、ありのままに障害を受け止めて、向き合えている状態です。
わが子の障害を受け入れて積極的な姿勢になれたら、お母さん自身の気持ちが楽になるでしょう。
ですが、障害の程度に関係なく子どもの障害を受け入れることは難しいものです。発達障害の場合は、目に見えないのでなおさらです。
障害を受け入れることで支援のスタートが切れます。
障害とともに生きることは様々なストレスも生じます。乗り越えたつもりの気持ちが、ぶり返してくることもあるでしょう。
まずは子どもをよく観察して、子どもの特性を知ることから始めてみてください。
障害を受け入れるまでの心の変化
お母さんが子どもの障害を受け入れるまでに、5つの過程をたどると言われています。
ショック
子どもの障害に気づいたり、障害を告げられた時、親は相当なショックを受けます。この時期はすぐに過ぎますが、心理的な衝撃が強いので注意が必要です。
否認
前の段階よりも落ち着いてきますが、障害について、「成長すれば治るのでは」と楽天的に考えたり、「診断が間違っている」「先生が大げさだ」と否定的に考えます。
悲しみと怒り
障害を受け入れ始めますが、「どうして私の子どもが」と悲嘆したり、「この子が悪い」と子どもに怒りの矛先を向けたりします。「私が育て方を間違ったせいだ」と自分を責める場合もあります。この段階はショック・否認の時期より長引く場合もあり、児童虐待、二次障害の可能性に注意が必要です。
適応
精神的な波はかなり落ち着いてくる。障害について前向きに受け止めはじめ、専門家の話や書籍で情報を得ようとしたり、障害を持ちながらも成長している子どもの姿に気づけるようになる。
再起
子どもの状態をありのままに受け入れて、将来の見通しも持てるようになる。
もちろん、わが子の障害を受け止める過程は、必ずしもこの通りに進むわけではありません。心の揺れ幅や深さ、期間には個人差があります。
障害の種類や度合いによっても個人差がありますし、乗り越えたつもりでも前のステップの気持ちがわき上がることもあるでしょう。
毎年の運動会や音楽発表会のような節目の行事に、他の子どもたちの成長を見ると、悲しい気持ちになります...
集団行事は子どもの日頃のがんばりを見ることができる貴重な機会ですが、年齢相応の発達に合わせた取り組みをするため、定型発達との差がはっきり見えることになり、発達障害・グレーゾーンの子どもを持つ親にとっては残酷な一面もあります。
わが子の成長や頑張りだけに集中できれば良いのですが、こういった行事で悲しい気持ちや障害を否定したい気持ちが起こることは自然なことです。
園や学校との認識のズレがある場合
発達障害・グレーゾーンの場合、園や学校と保護者の間で障害のとらえ方に差が出る場合があります。
園や学校が子どもの特性を感じた時、園側は早期に支援を始めたいと考えます。できないことは援助しながら、できることはきちんと伸ばすための体制を整えることが子どもの育ちにとって大切だからです。
そこでお母さんに、園や学校で子どもが困っている様子やトラブルについて伝えるわけですが、お母さんの認識との間にズレがあることもあります。
- 家では特に困っていない
- わが子に障害の可能性を感じていない
園や学校での集団生活の場面と違って、自宅で1対1でわが子だけを見てきたお母さんにとっては全く寝耳に水の場合もあるのです。
園や学校は何かトラブルがあるごとに、お母さんに伝え続けるでしょう。そのうちに、はっきりと支援を受けることを勧められる場合もあるかもしれません。
結果として、お母さんにとっては相当ストレスの強い時期となります。
お母さんとしては園からの話だけではピンと来ず、もやもやしてしまうことがあるかもしれません。小学校入学前には診断が降りない場合も多いため、お母さんも客観的に判断する材料がなくて、もやもやが長引いてしまう時期でもあります。
わが子の障害を受け止められないとき
- 何ともないかもしれない
- 何かあったらどうしよう
- 何かあるとわかっているけれど、ハッキリ言われるのが怖い
お母さんがこのような不安を感じていて、医療機関や専門機関の検査を受けられずにいることがあります。
子どもの特性をなんとなく感じているけれど前に進めない。
もし今これを読んでいるあなたがそうであるならば、診断が降りなくても受けられる支援もありますので、子どもとお母さんのために活用してもらえたらと思います。
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まとめ:あわてず少しずつ向き合う
発達障害・グレーゾーンの特性を持つ子どもを育てるお母さんにかかるストレスの原因は様々です。
子どもが起こす問題の他に、子どもの将来への不安、周囲との人間関係、お母さん自身の日常生活や人生の選択の幅が減ってしまうことなどがあります。
子どもの障害を受け入れて、障害を正しく理解することができれば、子どもだけでなく、お母さんにも適切な援助につなげることができます。
しんどい子育てを頑張っているお母さん自身にも支援が必要です。一人でがんばりすぎず、チームで子どもの特性に向き合って行きましょう。