子どもをほめて伸ばしたいけど、どんなことをどんな言葉でほめたらいいかわからない
子どもがやる気を出す効果的な声かけってなんだろう?
子どもはほめることが大事、ほめて伸ばそうとよく言われますが、実際にはどのようにほめるとよいのか迷うことがありますよね!
この記事では、次の3つを解説していきます。
- 子どもが伸びる肯定的な言葉かけの方法
- ほめ方のNG例
- 発達障害・グレーゾーンの子どもへの言葉かけのコツ
これを読めば、どんなときに、どんな言葉かけをすればよいかがわかって、自信をもって子どもをほめられるようになりますよ。
子どもを効果的にほめて、成長をサポートしていきましょう。
子どもが伸びる肯定的な言葉かけの方法
子どもが伸びる土台には「自己肯定感」というものがあります。自己肯定感とは、ありのままの自分を認める感覚のこと、ありのままの自分に価値があるという感覚のことです。
自己肯定感があれば、「自分ならできる」と自信をもって前向きにがんばることができます。たとえ失敗してしまっても、「またがんばれば大丈夫」と自分で立ち直ることができるのです。
この自己肯定感は基本的に、認められたりほめられたりすることで高まります。では、具体的にどのようにするといいのか解説していきましょう。
あわせて読みたい
自己肯定感の育て方については詳しい記事がありますので、こちらも読んでみてください。
小学生の間に育てたいソーシャルスキルとソーシャルスキルトレーニングの方法を解説した記事も参考になると思います。よろしければ合わせてお読みください。
たくさんほめる
とにかくたくさん子どもをほめましょう!
「すごいこと」「えらいこと」を毎日見つけるのは大変そう...
では、「できたこと」「がんばったこと」を見つけて声をかけてください。
お子さんをよく観察してみると、毎日の生活の中で頑張っていることがたくさん見つかるでしょう。
「自分で靴を履けたね」「おうちまでがんばって歩いたね」など、子どもの様子を言葉で表現してみてください。
それだけでも、子どもは「ちゃんと見てくれている」「認めてくれている」と感じられます。
「すごい」も「えらい」もまわりの人からの感想ですが、「できた」「がんばった」は子ども自身が実感していることです。
自分が「できた」「がんばった」と感じていることを、まわりの人からも共感してもらえる経験が自己肯定感を高めていくのです。
具体的にほめる
どんなところがよかったのか具体的にほめるようにしましょう。
例えば、ごはんを食べ終わったときに、お子さんが嫌いなピーマンを食べていたのであなたが「えらいね」と言ったとします。
お子さんは、何のことをほめられたかわかりませんよね?
苦手なものも食べたからなのか、米粒一つ残さずきれいに食べたからなのか、たくさん食べたからなのか、ごちそうさまが言えたからなのか。
「ピーマンを食べてえらい」とお母さんが思ってほめたことがお子さんに伝わらないのはもったいないです。
「ピーマンも全部食べてえらいね」と具体的にほめましょう。ほめられた理由がわかると自信がついて次回のいい行動につながりやすく、ほめることの効果が高まります。
結果でなくて過程をほめる
結果でなくてがんばった過程をほめてあげましょう。
跳び箱で6段跳べた、テストで100点をとったなど、結果にはお母さんの目も行きやすく、つい結果や成果をほめてしまいがちです。
でも、大切なのは結果が出るまでのがんばった過程です。
同じ「跳び箱で6段跳べた」という結果でも、それまでのがんばりは子どもによって違います。
跳び箱を飛ぶときの踏み切り方や手の付き方を工夫したり、ひたすら何回も練習したりと、その子なりのがんばりがあったはずです。
がんばった過程をきちんとほめて、よい結果は一緒に喜び、あと一歩だったときは悔しい気持ちを受け止めて励ましてあげましょう。
そうすることで、子どもは「またがんばろう!」と前向きに考えられるようになるのです。
ほめ方NG例
ここからは、ついやってしまいがちだけど気を付けたいほめ方のNG例をご紹介します。
適当にほめる
具体的にほめようという話でも少し触れましたが、「すごい」「えらい」「がんばったね」とだけ言われても、何がよかったのかが曖昧でよくわかりません。
また、小学生くらいになるとただ「すごいね」とばかりほめると、適当にほめられている気がしたり、本当はすごいと思っていないのではないかと感じたりするようになります。
実は、私も療育の現場で「すごい?」と子どもに聞かれることが多く、「すごいね」と褒めることはよくあります。
でも、「すごいね」と言ったときには、何がすごかったのか付け足したり、「どうやったの?」等の質問をして、自分のすごさをお子さん本人に語ってもらったりするようにしています。
ポイントは、なんでも「すごいね」で済まさないということです。子どもは大人をよく見ていますので、適当な賞賛はすぐ感じ取りますよ。
結果をほめる
結果だけをほめるのはいいほめ方ではありません。
テストの点数や試験の合否などの「子どもが頑張って手に入れた結果」をほめるときには、少し注意が必要です。
点数や結果だけをほめずに、その点数や結果を得るまでのお子さんの過程についてもほめるようにしましょう。
「いい点数を取らないとお母さんがほめてくれない」「不合格だとがっかりされる」と子どもが感じるようになると、良い結果が得られなかった時に「自分はできない子なんだ」と自信を失ってしまったり、結果に固執しすぎるようになっててしまいます。
努力が届かなかった、結果がよくなかった事実を受け入れることが、再挑戦のスタートです。
良い結果の報告を聞いてほめる時にはがんばった過程もほめるようにしましょう。
兄弟やお友だちとの比較でほめる
「お兄ちゃんはできていたのに」「〇〇ちゃんよりうまくできたね」など、誰かと比較してほめるのはよくありません。
ほめられる基準が自分自身にないと、ほめられていても劣等感を抱くことになります。
誰かと比べてほめることは、ほめられていてもお子さんが自信を失うことになりますのでやめましょう。
当たり前にできていることをほめる
あなたは突然、「一人で歯磨きできたね」「一人で着替えられたね」なんて言われたらどう思いますか?
きっと、「何を言っているの?大人なんだから当たり前じゃない」と思うでしょう。
子どもも同じで、もう当たり前にできていることをほめられても別にうれしくありません。
むしろ、「そんなこともできていないと思われているのだろうか?」「ちゃんと自分のことを見てもらえてないのではないか」?ともやもやしてしまいます。
子どもをよく観察して、子どもが一歩踏み出してがんばったことや少しずつできるようになってきたことをほめるようにしましょう。
発達障害・グレーゾーンの子どもへの言葉かけのコツ
発達障害・グレーゾーンの子どもは、まわりからみるとできない部分が目立ってしまい叱られることが多くなりがちです。
できないことに注目しすぎず肯定的な言葉かけを意識することで、力を伸ばしたり、できることを増やすことができます。
少し詳しく解説していきましょう。
抽象的な表現を避ける
「ちょっと」「もう少し」「もっと」などの曖昧な表現は避けましょう。
「ちょっと待ってね」「もう少し離れてね」などの「ちょっと」「もう少し」という表現は、どれくらいのことを言っているのかイメージしにくいのです。
「ちょっと」や「もう少し」は人によっても違いますよね。
ですから、できるだけ数字で表したり、目に見える基準で伝えたりするのが大切です。
例えば、
- 「ちょっと待ってね」→「あと3分待っていてね」
- 「もう少し離れてね」→「この線まで離れてね」
- 「ちゃんと座って」→「お尻をイスにつけて座ってね」
といった言い換えをすると指示が理解しやすくなります。
具体的な行動の内容を伝える
何かしてほしいときは具体的な行動の内容や目的を伝えましょう。
例えば、「うるさい!」と言われても、おしゃべりしてはいけないということなのか、小さい声なら話していいのかわかりませんよね?
「うるさい!」だけだと「怒られた!」「なんで怒るんだ!」と否定されたことに意識がいってしまい、落ち込んだりパニックを起こしたりしてしまいます。
ですから、「うるさい!」と思った時には、「これくらいの声で話してね」など、どうしてほしいのか具体的に言い換えて伝える必要があります。
他にも、「走っちゃダメ!」→「歩こうね」「危ない!」→「止まって!」「早くして!」→「これが終わったら〇〇しよう」といった言いかえができます。
ポイントは、子どもが主体の言葉に置きかえて、行動が具体的にわかる表現にするということです。
「まわりの音が聞こえなくなるから、これくらいの声で話してね」と簡単な理由をつけてあげるとさらに納得しやすくなります。
何か注意をした時に行動に移すことができたら「できたね」とすぐにほめると、いい行動の意識つけができます。「歩こうね」と言われて歩くそぶりを見せただけでも、「歩こうとしてえらい」とほめるといいですよ。
気持ちがこちらに向いてから声をかける
子どもの気持ちがこちらに向いているか確認してから声をかけましょう。
発達障害・グレーゾーンの子どもの中には、他のことが気になって話している人に意識を向けたり、意識を向け続けたりすることが難しい子がいます。
何かに夢中になっているときは、話をしても全く頭に入っていきません。聞こえていないこともあります。
やさしく名前を呼んで、目線と意識がこちらに向いたことを確認してから、できるだけ簡単に短く話しましょう。
話し終わったら「今話したことを言ってごらん」と話したことを確認すると、伝え漏れを減らせます。
最後に「話を考えながら聞けたね」「聞いてくれてありがとう」とほめてあげるといいでしょう。
まとめ
子どもが伸びるために効果的な言葉かけのコツとポイントについて解説しました。
最も効果的なのは、子どものがんばりを具体的になるべくたくさんほめることです。
正しい方法でたくさんほめることで、子どものやる気を引き出したり、自己肯定感を高めたりすることができます。
親からの「認めてもらえている」「愛されている」といった安心感があると、子どもはより何事にもポジティブに行動できるようになりまたほめるという良いループが生まれます。
このような良好な親子関係が、子どもが一歩踏み出すエネルギーの源になるのです。
今回ご紹介したよいほめ方を取り入れて、子どもの成長を支えていきましょう!