発達障害の特性があることを子どもに伝えるタイミングはいつがいいの?
子どもに発達障害を告知して傷つけてしまったらどうしよう
発達障害の特性を持つお子さんに、いつ、どうやって発達障害のことを告知するのか、とても悩みますよね。
この記事では、次の3つを解説していきます。
- 発達障害を本人に伝えるメリット・デメリット
- 発達障害を告知するタイミング
- 発達障害を告知するときのポイント
この記事を読めば、発達障害をどんなタイミングで、どんな伝え方をすればよいかがわかり、お子さんに発達障害を告知するときの備えになります。
ぜひ最後まで読んで、お子さんが発達障害を前向きにとらえられるような告知の知識を身につけてくださいね。
発達障害を本人に告知するメリットとは?
まずは発達障害を本人に告知するメリットとデメリットを整理しましょう。
メリットとデメリットを知ると、正しい告知の方法がわかります。デメリットを回避するポイントも後半にご紹介します。
メリット
発達障害を告知するメリットは、
- お子さんが自分の得意と苦手を理解することで対策が取りやすくなる。
- 自分がどんな人間かを知ることは自分の人生を前向きに生きていくきっかけになる。
これらが挙げられます。
年齢が上がっていくにつれて他の子との違いに気づき、「なんで自分はみんなと違ってうまくできないんだろう?」と悩んでしまう子は少なくありません。
感じていた周りとの違いは発達障害の特性によるもので、対処方があると知ることで、救われる部分もあるでしょう。
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デメリット
発達障害を告知するデメリットは、間違った方法で、間違ったタイミングに告知をしてしまうと、子どもを傷つけて自己肯定感を下げてしまう恐れがあるという点です。
お子さんにとって適切なタイミングと正しい方法で告知をして、デメリットは最小限に抑えて乗り越えていきましょう。
告知をしないデメリット
告知をすべきタイミングに告知しないことで起こるデメリットもあります。
努力しても周りより劣る結果ばかりで、原因もわからないままだと、人生そのものが辛くなってしまう可能性があります。そうなる前に、子どもに障害について告知することが有効です。
発達障害を告知するタイミング
お子さんに発達障害を伝えるタイミングは、自分の発達障害を理解することが悩みを解決する力となる時です。
周りができるのに自分だけできない。遅れている。と違いを感じ始める時期は子どもによって様々です。お子さんに合わせたタイミングで告知をしましょう。
いつ、どんな悩みや困りごとが出てくるかは個人差がありますが、年齢によって大まかな特徴があります。
ここからは子どもの年齢ごとに、悩みの特徴と告知の方法を見ていきましょう。
小学校低学年
小学校低学年では、周りとの違いに気づき、本人の自覚が芽生える時期です。
小学校に入学すると幼稚園や保育園までと違い、みんなで一斉に同じ活動をする時間が増え、「みんなよりうまくできない」と感じる子どもが出てきます。
また、小学校から特別支援学級に在籍する場合は、他の教室環境との違いや学習の様子の違いがあるので、あらかじめ説明が必要になるでしょう。
小学校低学年のお子さんはまだ難しいことはわからないので、一度に全部を話す必要はありません。
お子さんが理解できる範囲や悩んでいる部分だけを説明し、その他のことは必要に応じて段階的に伝えるとよいでしょう。
小学校高学年
小学校高学年になるとまわりの子どもとの違いが目立ち始め、本人も何かが違うと感じ始める頃です。
学習内容が難しく複雑になっていき、クラブ活動や委員会活動などでは高学年として自立した行動が求められるようになります。
また、高学年は障害についての学習があったり、SNSなどで発達障害について見かけたりするため、「自分はもしかしたら発達障害なのかもしれない」と考えるきっかけが増える時期でもあります。
周りとの違いに悩んでいる、自分が発達障害かもしれないと疑っているなど、状況に応じて発達障害の告知を考える必要があるでしょう。
中学生以降
中学生以降は、学習面と生活面の両方でまわりの人との差が大きくなってくるので、受験勉強や仕事、人間関係でトラブルが起こりやすくなります。
学習面では学習内容がさらに難しくなり、まわりとの差が広がっていくことは少なくありません。
思春期は精神的にも不安定で、不安やイライラを感じやすい時期でもあります。
元々コミュニケーションや感情のコントロールが難しいお子さんは、まわりからみると行動が幼く見えて人間関係でつまずいてしまう場合もあります。
このようなストレスが大きい場合は、つまずきの原因が自分の発達障害の特性にあると知ったほうが、気持ちが楽になることもあるでしょう。
また、進路に関して、中学校では特別支援学校に進学するかどうか、高校以降ではどのような進学先や職業を選択するかなどを決める上で、発達障害を告知する必要に迫られる場合もあります。
子どもが今抱えている悩みがこれ以上深くならないように、慎重に告知することが大切です。
発達障害を告知するときのポイント
ここからは、発達障害を告知するときのポイントを確認していきます。
正しい知識を伝える
発達障害を告知する際には、誤解を与えないように正しい知識を伝える必要があります。
発達障害について正しい知識を伝えるために大切なのが次の3つです。
- 嘘は言わない
- 悪いことではないと伝える
- 対処法があることを知らせる
1つずつ見ていきましょう。
嘘は言わない
「そのうち治る」「完治できる」など、軽く聞こえるようにごまかすような嘘はやめましょう。
発達障害は特性ですので、「治る」という言葉は適切ではなく、本人に希望を持たせる言い方は後に苦しむことになります。
安易な嘘は親への不信感や孤独感につながり、後々の親子関係の悪影響を与えてしまう可能性があるので、真実を伝えるようにしましょう。
悪いことではないと伝える
「障害がある」と聞くと、とても悪いことを抱えているように感じて、ショックが大きくなってしまう可能性があります。
発達障害の特性はある分野に対する「苦手」であって、誰もが何かしらの「苦手」を持っていることを伝えるなどして、お子さんの個性を否定しないような伝え方をしましょう。
対処法があることを伝える
苦手なことも自分に合った対処法があることを伝えましょう。
本人の悩みが解決することが目的で告知をするのですから、対処法もセットで伝えます。
「治らない障害を抱えている」と不安にさせないことを意識しましょう。
伝え方のポイント
発達障害の伝え方のポイントは次の3つです。
- 欠点のように伝えない
- 工夫が必要なことや苦手なことは対処法とセットで伝える
- 自己肯定感が下がらないように注意する
発達障害の伝え方のポイントに共通するのは、「前向きにとらえる」ということです。
それでは詳しく見ていきましょう。
欠点のように伝えない
欠点のように伝えず、得意なことや長所を伝えるようにします。
自己否定につながらないように、ADHDであれば「チャレンジ精神豊富で元気いっぱい」といったように、良い面に注目し、欠点のように伝えないようにしましょう。
工夫が必要なことや苦手なことは対処方法とセットで伝える
工夫が必要なことや苦手なことは、対処方法とセットで伝えましょう。
苦手だと思っていたことの原因が障害の特徴だったとわかった時に、解決方法を知ることで安心できます。
自己肯定感が下がらないように注意する
告知をした結果、「障害がある」という事実を重くとらえて自己肯定感が下がってしまっては本末転倒です。
誰もがみんな得意なことと苦手なことがあるのが当たり前です。
得意なことをいかしたり苦手なことで失敗したり、工夫してつき合いながら暮らしています。
投げやりでなく、ありのままの自分を受け入れられた状態を目指しましょう。
主治医や相談機関等の専門家との連携
必要に応じて、主治医や相談機関等の専門家と連携しながら告知をすると安心です。
事前に相談してアドバイスを受ける
「正しく伝えられるか心配」「子どもになんて言えばいいかわからない」というときは、事前に主治医や相談機関の専門家に相談しましょう。
お子さんに合ったタイミングや伝え方についてアドバイスをもらい、落ち着いて伝えられるように準備を整えます。
また、思春期で親の話を素直に聞き入れてもらえない場合など、主治医や専門家からお子さんに伝えてもらった方がよいときもあります。
親だけで抱え込まず、主治医や相談機関を頼ってみましょう。
必要に応じて本人が専門家に質問する機会を設ける
親だけではなく、本人が専門家に質問する機会をつくるのもよいでしょう。
「もっと自分のことについて知りたい」「発達障害についてもっと話を聞きたい」というときは、子ども自身に主治医やカウンセラーと話をしてもらいましょう。
親以外に自分をわかってくれる大人、悩みを一緒に解決してくれる大人がいることは、子どもが安心して生きていくためにとても貴重なことです。
お子さんを一番よく知る存在であるお母さんと専門家が協力して、お子さんをサポートしていく体制を作りましょう。
まとめ
この記事では、発達障害をお子さんに告知するタイミングと告知方法について解説してきました。
お子さんが周りとの違いに気づき、「みんなより劣っている自分」について悩んだり苦しんでいる様子が見られたら、告知を考えるタイミングです。
これまで解説した告知の方法を参考に、お子さんと発達障害の特性について話し合ってください。
お子さんが発達障害を受け入れられれば、お子さんの人生は前向きで明るいものになるでしょう。